7月1日第5回未来院長塾が開催されました。白熱した午前の部に引き続き、午後の部のテーマは「口腔機能低下症」でした。
ご登壇頂いたのは、藤田保健衛生大学医学部 歯科・口腔外科の中澤悠里先生です。
1.口腔機能を維持する重要性
2018年度の保険点数改訂に伴い新たな項目がいくつか追加されましたが、中でも口腔機能低下症について、真に理解のある開業医は多くは無い様に感じます。
器質的疾患に対してアプローチを行なってきた歯科が、機能面を評価し指導・動機付けを行う事に対して何をどの様にすれば良いかが今ひとつ分からないのかと思います。
ぼちぼち各医院にも口腔機能精密検査機器が揃ってきた頃合いかと思いますが、適切な検査機器の用い方が出来ているでしょうか。
また、その後の管理計画書や指導方法を自信を持って患者に提案できるでしょうか。
今回中澤先生には、少子超高齢者社会におけるフレイル予防すなわち口腔機能低下症への取り組みについて解説頂きました。
2.口腔機能低下症は可逆的
機能障害に陥っていない機能低下の状態では、適切なアプローチを施せば改善に導く事が出来ます。
その為にはまず患者の些細な異変に「気付く事」が歯科医師に問われています。
検査機器を適切に用いその後の評価や指導・動機付け、これら一連の流れを歯科医師のみならず歯科医院全体で取り組むことが今まさに地域で求められています。
口腔機能精密検査に必要な機器の取り扱いやその後の評価についてデモを交え非常に分かりやすく解説頂きました。
指導・動機付けにおいてのキーワードは「栄養」だという事が講演を通じて理解できました。
3.PAPの役割
嚥下補助装置と聞いて何を思いつくでしょうか、また実際に目にした事はありますか。
恥ずかしながら私は学生時代に講義で聞いて以来で実際に目にした事はありませんでした。
嚥下補助装置の主な適応症は、1.器質的障害 2.運動障害性嚥下障害です。
今回ご紹介頂いたPAP(舌接触補助床)は嚥下補助装置の一つであります。
機能障害ではなく機能低下の話なのでPAPは開業医では取り扱う必要はないのではと思った方は多いかと思いますが、リハビリの側面としてこの装置がもたらす恩恵について説明頂き理解を深める事が出来ました。
また、一見すると困難に思える作製方法についても、デモにて分かりやすく解説頂きました。
嚥下において舌圧は極めて重要で、それを向上させうる可能性や選択肢を受講生は身につけたのではないでしょうか。
4.食べる事は生きる事
今のは聞き慣れた言葉ですが、健康であるには口腔機能を維持する事はもはや事実であり、それを担うのが歯科医師の私達の責務であります。
その事について何が出来るか自分に問いただしてみましょう。
加齢とともに全身の運動機能は是非もなく低下し、目の前の患者だけでなく歯科医師である我々も避ける事は出来ません。
患者はもちろん、自分に近しい人は可能な限り健康でいて欲しいと、またその為に何が出来るかを私は日々考えています。
個人的な答えは筋トレの素晴らしさをもっと広めたい。ですが、それはまた別の機会にお話します。
未来院長塾は共に学び考える場を今後も提供していきます。
次回、8月5日の講演は認知症についてです。奮ってご参加下さい。
では、また。
報告者 新井 是英
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