2018年度第2回未来院長塾レポート 未来院長のためのスポーツ歯学 -「マウスガードを作って」と言われたら?-

日本勢が躍進している、または活躍した2018年平昌オリンピック・パラリンピック、来年2019年ラグビーW杯、そして2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。それに伴い、国民のスポーツへの関心も高まっているように感じます。

そこで、スポーツにおける歯科の役割について今一度考える事をテーマとして第2回未来院長塾が3月11日日曜日に開催されました。

今回、講師としてお話し頂いたのは日本スポーツ歯科医学会認定医、同協会マウスガード製作ガイドライン委員、また日本スポーツ協会公認スポーツデンティストである田中佑人先生、日本スポーツ歯科医学会マウスガードテクニカルインストラクターの松田信介先生です。

1.マウスガードはスポーツパフォーマンスを向上させるか否か

田中先生からはスポーツ時におけるマウスピースの役割について以下の3つの項目からお話し頂きました。

①咬み合わせと運動能力との関係

②スポーツ選手に対する歯科保健指導

③マウスガードについてのエビデンス


咬合がもたらす情動についての最新の生理学の情報、運動時における咬合接触、咬合力と栄養学、咬合接触バランスと体幹バランスについて。

はたまたマウスガードの有無と脳震盪との関連について田中先生ご自身の研究結果をもとに論理的かつ明確にお話し頂きました。

そしてスポーツデンティストとして、選手及びご家族、チームと日々関わっている田中先生から歯科医師として選手の口腔内を様々な状況から守るために知っておくべき事柄についてお話し頂きました。歯牙破折、歯牙脱落時の対応は勿論、それを選手含め周囲へのアナウンスの重要性について理解を深めました。

2.世界基準のマウスガードの製作方法

松田先生からは現在コンセンサスが得られているマウスガードの製作方法について、マウスガードの歴史や材料学の観点でお話し頂きました。

今回、歯科医師だけでなく技工士も多数参加した事は非常に意義があり、積極的な意見交換がなされました。

シート材料の違い、印象採得後の注意事項、取り扱いのポイント、また機械の特性を活かした製作方法について動画や研究結果から分かり易くお話し頂きました。

また何よりせっかく作っても使用されなくては意味がないですよね。そこで、使用感の良いマウスガードの形態についてもお話し頂きました。

今後ますますスポーツ歯学の需要が増す中、自院でのマウスガード製作依頼は増える事かと思います。そんな中咬み合わせがもたらす影響について、皆さん日々の臨床で安易に説明していませんか?マウスガードについてきちんと論理的に説明できますか?何より自信を持って選手の自傷、外傷から守れるマウスガードを製作できるでしょうか?

今回受講した塾生にとっては、正しくヘルスリテラシーが身についた講演内容でした。


次回は未来院長塾初の女性講師を招き、少子超高齢化の少子問題についてお話し頂きます。

これからも未来院長塾ならではの講演を行うので、楽しみにして下さい。

では、また。

                             報告者 新井 是英


未来院長塾

バランス良く学べる場を提供し、将来の目標を達成するためのキャリアパスを、自分自信で描くことができる歯科医師の養成をミッションとしています。そのことが、医療を受ける生活者や、地域社会への貢献に繋がり、歯科医療従事者自身も社会に必要とされ、双方の満足に繋がると信じています。

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