第6回未来院長塾が8月5日に行われました。
少子超高齢社会の日本において、健康寿命の延伸と共に認知症についても注目がされています。
団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。
認知症の方のために、またサポートしている周囲の方に何が出来るのか、まずは正しく認知症を学ぶところから始める必要があります。
今回はうえろく株式会社 営業本部 新規事業・開発 認知症ケア専門士・シニア住宅相談員 濵崎 勲先生をお招きし、「歯科医師のための認知症サポーター養成講座 〜認知症になっても安心して暮らせるまちを目指して〜」と題してご講演頂きました。
1.認知機能とは
「物事を記憶する」「考える」「判断する」などの知的機能の事で、日常生活を送る上で欠かす事の出来ない能力です。認知症とは、その認知機能が何らかの脳の異常により著しく低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態の事を言います。
前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の働き、認知症と物忘れとの違いや中核症状と心理・行動症状についてお話し頂きました。
その中でも、認知症の方に多く見られる見当識障害(人・場所・時間)や使用薬剤について理解を深める事が出来ました。
認知症の初期症状や特徴、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と認知症の関わりについても学んだので、認知症予防という視点では外来受診者の変化に気がつきやすい歯科の役割は大きいと個人的に思いました。
2.中核症状と認知症の行動・心理症状(BPSD)
認知症の症状には、誰にでも生じる共通の症状としての「中核症状」と、環境などの様々な要因が加わって二次的に生じる「認知症の行動・心理症状(BPSD)」があります。
つまりは記憶障害や見当識障害などの中核症状が生じ、不安な心理状況や不適切な環境やケアなどの要因が加わる事で、うつ状態、徘徊、昼夜逆転などのBPSDが生じるという事です。
「認知症の行動・心理症状(BPSD)」は必ずしも生じるわけではなく、まだ認知症に影響されていない「健康な部分」もある事も理解しなければなりません。
特に不安な心理状態に陥る事がBPSDに繋がりやすいので、認知症の方が何について不安なのかを周囲の方が理解する必要があるとの事です。
3.本人・周囲の方の気持ちを知る
クリスティーン・ブライデンさんという認知症患者の方のメッセージをご紹介します。
「皆さんが話を聴いてくれないと、私達は話す努力をやめてしまうかもしれません。私達はは同じ言葉を繰り返す事が出来ないので、注意深く聴いてください。私達は一生懸命話そうとしますが、文法や構文が正しくなく、たどたどしい話し方になってします事がよくあります。どうか、伝えようとしているその気持ちを汲んでください。」
認知症の方は、自分の変化に気づいています。自分の変化に戸惑い、不安に陥る気持ちを理解する事からサポートは始まります。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症と言われています。他人事ではないこの問題に偏見を持たず、正しく学ぶ事ができた貴重な会でした。
これからも未来院長塾は認知症サポーター養成講座を応援します。
報告者 新井 是英
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