Relationship between gagging severity and its management in dentistry.
Saita N, Fukuda K, Koukita Y, Ichinohe T, Yamashita S.
J Oral Rehabil. 2013;40(2):106-11. Oral Health and Clinical Science, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan.
目的
先行的に研究されたGaggingの重症度分類は、治療をやってみないとわからないことが多かったため、術前診断として有効とは言えない。本研究では、著者らが考案した新規のGagging重症度分類により、歯科治療時に必要な管理段階の決定と、その後の脱感作の予後推定ができるかどうかを調べることを目的とした。
対象
2007年から2010年までの間に、Gaggingによる歯科治療困難を主訴とする、東京歯科大学水道橋病院リラックス歯科治療外来を訪れた全ての患者。
主なアウトカム評価
① STAI不安度測定:TraitとState
② Dental Anxiety Scale (DAS):歯科恐怖感尺度
③ CGP (Classification of Gagging Problem Index)スコア:Gaggingの重症度分類
1) 瞬間的なデンタルミラーの使用の可否 No→G5
2) デンタルミラーによる前歯部の検査の可否 No→G4
3) デンタルミラーによる臼歯部の検査の可否 No→G3
4) プローブによる歯周基本検査の可否 No→G2 Yes→G1
④ 歯科治療時の管理段階決定プロトコル
以下の7段階で歯科治療を行い、Gaggingが生じたら管理段階を1つ上げた。
i) 水平位、ii) 30°傾斜、iii) 30°傾斜+指圧
iv) 30°傾斜+指圧+キシロカインスプレー
v) 通常鎮静、vi) 深い鎮静、vii) 全身麻酔
i~iv)をM1管理、v)をM2管理、vi, vii)をM3管理とした。
主な結果
121名の対象者のうち、実験に参加した者は110名(うち女性49名、平均年齢39±11歳)であった。
① STAI:Traitにて61名(55%)が、STAI Stateにて95名(86%)が高不安群。
② DAS:64名(58%)が高不安群。
③ CGPスコア:29名がG1、21名がG2、34名がG3、18名がG4、8名がG5。
男性のCGPスコアが女性のそれより有意に高かった (Fig 4)。
④ 歯科治療時の管理段階 (Fig 3):
・M1管理となったものは48名で、治療開始後1年後に管理段階を下げることができた(脱感作できた)ものはそのうち34名であった。
・M2管理となったものは14名で、脱感作できたものはそのうち1名であった。
・M3管理となったものは46名で、脱感作できたものはそのうち3名であった。
・CGPスコアと管理段階(M1~3)とは有意な正の相関を認めた (Fig 5)。
・脱感作群はそうでなかった群と比較して有意にCGPスコアが低かった (Fig 6)。
結論
1.男性のCGPスコアは女性のそれと比較して有意に高かった。
2.Gagging重症度が、鎮静を必要としないレベルであれば、そうでない場合と比較して、有意に脱感作できた人数が多かった。
3.口腔内検査時に行う簡易的なGagging重症度分類(CGPスコア法)により、歯科治療時に必要な管理段階の決定と、その後の脱感作の可否を推測できる可能性が示唆された。
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