わたしたちは、障害者や要介護者の歯科受療者が低い原因の一つに、医療機関へのアクセスが困難であることが挙げられると考えています。具体的な要因として、車イスなどの物理的バリアに加え、周囲の偏見や無知に起因する、「障害のある自分を診てくれるのだろうか」という不安(心のバリア)が挙げられます。また、上記患者に対する歯科医療においては、地域の開業医や在宅療養支援診療所を含む訪問系の医療機関では、障害や原疾患を考慮した医療を提供できないことがまだ多いため、遠方の高次医療機関に頼らざるをえないのが多いことも一因だと考えられます。
平成28年4月1日から、「障害者差別解消法」という法律がスタートしました。この法律は、障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会を作ることを目指すものです。この法律により、医療機関にはスロープやエレベータ等の設置が義務付けられ、「車イスだから、あるいは障害者だから診られません」と言ってはいけなくなりました。これにより、「物理的バリア」が徐々に解消されていくと考えられますが、「心のバリア」にどう取り組むかが今後の大きな課題となるでしょう。
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