人生の3分の1が睡眠である。こんなフレーズよく聞きませんか?
最近睡眠について多くの書籍や記事が世に出ていますが、それもそのはず昨年2017年のノーベル生理学・医学賞は,サーカディアン・リズム(体内時計)を生み出す遺伝子とそのメカニズムを発見した米ブランダイス大学のホール(Jeffrey C. Hall)博士とロスバシュ(Michael Rosbash)博士,ロックフェラー大学のヤング(Michael W. Young)博士の3氏に授与された事に起因しています。
また同2017年のイグノーベル賞、平和賞も何と睡眠関連でありました。
オーストラリアの先住民アボリジニの伝統的な楽器を吹くと、睡眠障害やいびき防止に効果があることを発見したチューリヒ大のミロ・プハン教授らの功績が讃えられました。
そんな注目が増している睡眠と歯科にどのような関連があるのでしょうか?
また歯科が知っておく睡眠障害とは一体何かについて大阪歯科大学 高齢者歯科学講座 日本睡眠学会認定歯科医師 日本睡眠歯科学会認定・指導医 奥野健太郎先生、徳島大学病院 歯科(かみあわせ補綴科) 日本顎口腔機能学会 幹事 日本補綴歯科学会中四国支部 代議員 鈴木善貴先生をお招きしご講演頂きました。
1.500万人の潜在患者
睡眠に悩む方は500万人にも及ぶとされています。歯科疾患で悩む人は600万人なのでその数が如何に多い事かが分かります。
日常臨床で出会うほとんどの方が睡眠で何らかの問題を抱えていると言えるのではないでしょうか。
私含め、睡眠時における口腔内の状態を的確にイメージできる歯科医師はほとんど皆無だろうと思います。
何となくブラキサーっぽいからナイトガード、補綴物の延命のために何となくナイトガードなど、”何となく”でしか睡眠時のリスクを捉えていないのではないでしょうか。
2.難しい事を分かりやすく
「むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく,おもしろいことをまじめに,まじめなことをゆかいに,ゆかいなことを いっそうゆかいに」とは、かの有名な井上ひさし氏の言葉であります。
睡眠時の生理的現象、睡眠障害の定義や検査項目は学生時代に学んだかも知れませんが、忘却の彼方になっておりました。
そんな、聞き慣れない用語が多々ある中で、睡眠についてユーモアを交え分かりやすく解説頂きました。
奥野先生、鈴木先生両先生のプレゼン力の凄さに個人的にはファンになりつつ(笑)、正しく学ぶ事が出来ました。
3.睡眠障害における歯科の役割、医科歯科連携の鍵
約90種類に及ぶ睡眠障害の実態を踏まえ、その中で睡眠時無呼吸症候群や睡眠時ブラキシズムの状態、また正しい対応を知る事が出来ました。
ナイトガードなどの口腔内装置はあくまで手段の一つでしかなく、それを用いるリスクについても理解する事が出来ました。
睡眠障害は500万人という潜在患者がいる疾患なので、医科側からしても質の高い連携を望んでいます。地域のその声に応えるために我々は今から何ができるでしょうか。
人生の3分の2をより良く過ごす上で、その3分の1の睡眠の重要性に気づき改善しなければと改めて自分の生活習慣を見つめ直す機会にもなりました。
奥野先生、鈴木先生の講演を聞き患者とのコミュニケーションの変化や、それこそ問診票のアップデートに気づいた受講生は多かったのではないでしょうか。
今のスペシャルニーズは未来の当たり前、今回もそれに気づかされる大変学びの多い会となりました。考える、学ぶべき事は歯の治療学だけではないと断言できます。
さて11月25日、次回の未来院長塾は今期最後となります。
今期最後に相応しい講師をお呼びします。
今まで未来院長塾に参加できなかった方も奮ってご参加下さい。詳細は追って報告いたします。
では、また。
報告者 新井 是英
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